2015年02月26日

契約書って(1)で書いた契約書を作る3つの意味のうち、②について



契約書を作る場合、自分の勤めている会社では、基本的に当事者の人数分だけ契約書を作って当事者全員が原本(1)をそれぞれ一つずつ持つ。という対応をしています。
あなたの会社も基本的にはそうではないでしょうか?
もちろん、契約書には代表者などのハンコは押してあります。

では、ハンコを押す意味ってなんなんでしょう?

民事訴訟法にはこんな規定があります。

第228条第1項→文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
同条第4項→私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

文書の真正は、「作成者の意思に基づいて文書が作成された」ことを言います。そうすると、228条4項の推定を受けるためには、「署名又は押印」が作成者の意思に基づくという必要があります。

「押印」が作成者の意思に基づくものと言えるか、に関しては、最高裁が、「文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には,反証がない限り,該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定する」(最判S39・5・12 民集18巻4号597頁)と判示しています。

そうすると、「押印」があるときは、契約書上の印影と印章が合致→反証ない限り、印影は作成者の意思に基づくものと推定→文書の成立の真正が推定(法228条第4項)される。という形になります。

※「署名」の場合には、署名が作成者の意思に基づくものかを判断することになりますから、「押印」の場合のような、二段階の推定は働きません。

ハンコがあるということ、裁判において契約書の真正が推定されることになる。訴訟をしたことはないのでわかりませんが、企業間の契約で、推定を覆すことは簡単ではないと思います。


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(1)「原本」は、記載内容たる思想の主体自身によって作成された文書。とのこと(「民事訴訟法」有斐閣 第三版第4訂版 伊藤眞 369頁)※最新版ではないのであしからず。






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